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2009年 03月 17日
■企業名公表へ
3月末、厚生労働省は、大量の内定取り消しや誠意のない対応、悪質な内定取り消し行為をした企業について企業名を公表する。経営環境が一段と悪化、先行き不明なだけにどの企業でも誠意を尽くすことには限界があり、この先どのようにしたら良いのか、雇用問題については頭を抱えている。すでに内定取り消し人数は、1500人(大学生等1280人、高校生294人)を超え、さらに増えるのは確実視されている。では、どんな企業が、どのように内定者に対応しているのか、実例をいくつか挙げてみよう。 最も多いのは、内定者に自主的に辞退させるという行為である。内定取り消しをすれば会社の恥になるし、補償金がかかるということで、こうした隠微な行為を試みる企業が少なくない。例えば、経営環境の悪化、業績の見通しが暗いこと、経営破たんもありえる、などと懇切に説明する。同様に経営環境の悪化で、入社しても希望する勤務地や職種でなく、全員が営業、販売に投入されるとほのめかしたりする企業もある。 2月になって目立つのは、難易度の高い資格合格や難しい課題を義務付け、内定者の自信を失わせる行為である。具体例をあげると、業務の国際化が緊急課題になったとして、内定者にTOEICの試験を受けさせ、基準点数(750点)以上の者には自宅待機、それ以下の者は入社までに専門学校に通って実力をつけなくてはならない、という例である。語学に自信のない学生は、辞退したくなってしまうだろう。 このように学生に自分から辞退させるという姑息な対応は、内定者によってネット上にばら撒かれ、大学にも逐一報告されたりするので相応の覚悟が必要だ。その一方、事情を聞けばやむを得ない企業もある。例えば中堅IT企業の場合、受託先の企業が倒産したために資金繰りが急速に悪化、さらに新規の受注やサポートの売り上げが3割減と見込まれる。そこで、経営が深刻な事態になったという理由で内定者34人を取り消した。同社では、退職金を手当てできないので希望退職募集もできない。内定者に対する就職先の照会も、2月下旬では遅すぎた。結局、補償金30万円を支払って承知してもらった。しかし、補償金の支払いだけでも1000万円。その捻出にさえ苦労したという。この補償金は、昨年12月に新聞で報じられた日本総合地所の100万円が先例となった観があったが、今では30万円レベルになっているのが実態だ。 ■自宅待機が増える 4月になると、内定者は全員新入社員となる。しかし、現場では生産や販売が半減しているから、人員は過剰になっている。そこへ未経験の新入社員を配属するわけにいかない。そこで企業がとる措置は、自宅待機か研修ということになる。すでに中堅機械メーカーが73人を自宅待機(6ヶ月間)と発表しているが、4月からは、新入社員の自宅待機も雇用調整助成金の対象(賃金の3分の2を助成)になるだけに、かなりの数の企業が追随すると見られている。だが、年内に経営環境が回復しなければ、職場復帰は難しいことになる。企業としては次の対策を講じなくてはならなくなる。それが何か、皆目、見当がつかないのである。 ■安易な自宅待機や配属は、企業のモラルが問われる このほか入社してから解雇すれば良いという乱暴な意見もあるが、これはとんでもない考えである。それに社員の解雇は簡単ではない。制定されたばかりの労働契約法などに則って合理的な解雇理由が必要になる。だからといって過酷な職場への配属や成果の過大な要求は、当然、不当労働行為だ。 いま大学3年生は、就活の真っ最中だが、こうした経営難に陥った企業の社員、派遣労働者、内定者への対応を横目に見ながら就活をしている。きびしい環境の中でも雇用を大事にする企業と粗野な企業がどこかをじっと観察しているだろう。こうした環境に遭遇した学生たちの職業観は、今後、どのようなものになるのだろうか。少し期待をしてみたい。 [09.03.17] #
by bcp_sjk
| 2009-03-17 12:36
| [メルマガ]採用戦略研究2009
2009年 03月 03日
2010年の採用計画が、公表され始めた。自動車、電機など輸出型メーカーの採用数が大幅減になるが、金融、サービス、エネルギーなどの業界は、積極採用を継続する方針だ。注目のメガバンクも新聞社の取材に対してようやく回答し、採用計画を明らかにした。大量採用で注目を集めてきたメガバンクは、いずれも半減という。こうした企業の採用意欲の後退は、現在の採用活動にどのような影響を与えているのだろうか。
1.企業の採用活動の縮小 自動車、電機、機械などの大手企業では、派遣の雇い止め、社員の雇用調整、希望退職募集の段階を経て、新卒採用の大幅抑制、採用中止に踏み切る企業も出始めている。しかし、採用中止に踏み切った企業の採用担当者は、大学や学生に採用中止企業と語り継がれることを危惧して、影響の緩和に懸命だ。例えば、専門商社Sの文面は涙ぐましい。「採用チームは、経営陣と何度も話し合いましたが、全従業員と家族を守るために、採用中止となりました。みなさんにセミナーなどでお話したことが嘘になってしまったのが非常に無念です。しかし、みなさんの就職活動を今後も応援・支援し続けます。これからも このブログでみなさんのお役に立てればと考えています。本当に申し訳ありません。」という。採用担当者の悔しさと誠意が読み取れる。 採用数を大幅に抑制するメーカーは、まず、地方での会社説明会を中止し、派手な就職イベントへの参加を見合わせているが、採用活動は、実は従来どおりである。メーカーの場合、採用減は事務系が中心で、技術系はそれほどの減ではない。もともと採用できていなかったから、むしろ技術系の採用に専念できるとばかりに工場見学会や施設見学会、展示会などの活動が活発になっている。数千人のリストラを発表しているメーカーでも、新卒の採用はかなり積極的に展開している。元気なのは、内需型の食品メーカーや通信、インターネット関連で、昨年同様の積極姿勢は変らない。このほか、総合商社や保険、運輸などが元気でエントリーシートの受付を2月上旬から開始、順次面接に入っている。とくに損保は、大学別のアプローチを強化して採用に意欲を見せている。注目のメガバンクは、例年通り2月から職種別の説明会を全国各地で開催、3月上旬まで懇談形式に移行しながら、多すぎる応募者を一気に絞り込む模様だ。 このように新卒の採用活動は、メーカーが抑制しているが、金融や商社が元気で世間が予想するほど暗いものでもない。とくに金融は、少数採用の時代だからこそ優秀な人材を採用しなければならない、と総合職優先型の採用活動を展開している。 2.学生はどう考えているか 大不況到来に学生側の就職観や就活も変化を見せている。学生のエントリー数やセミナーへの参加数は大幅増で、学生の真剣さも格段に違ってきているが、実際の動きは案外鈍い。人気企業では説明会が超満員となっているが、まるで学生が応募してこないという企業も多い。これは学生側の意識が大手企業に集中しているために、中堅企業や中小企業に応募しないからだろう。それに企業がエントリー者を厳選、書類通過率を低く抑えるケースも多くなっている。こうした学生の不安の声を、当社のモニター調査からいくつか紹介しよう。 「外資系企業の採用中止が多いが、今後、就職活動が本格化する4月頃までに国内の企業に影響が出てくるのではないかと不安」(大阪大) 「まだ内定をもらっていないのに、もしも内定取り消しになったどうしようか、と不安に思う」(早稲田大) 「企業からの採用を取りやめるというメールを何通かもらい、単純に景気と就職に不安をおぼえる」(東洋大) 「不安なのですが、どう不安なのか、それをどうしても取り除けない」(神奈川大) と不安を訴える学生が続出だ。 こうした学生の気持ちは、就職先を選ぶ基準にも反映され、企業研究は財務状況の確認が中心となり、事業構造も海外市場や景気変動の影響を受けないと見られている内需型の企業に人気が集中している。その一方、早々と雇用調整を発表した輸出型の自動車、電機、精密機械などの企業は、就職人気が凋落している。求人意欲が旺盛ということで話題になっている外食、サービス業界と中堅企業は相変わらず不人気で、昨年同様、2月末になっても、応募が伸びないのも特徴だ。 3.「内内々定の恐怖」の恐怖 ところで、いま学生の間で「内内々定の恐怖」という言葉がささやかれている。これは、すでに内定を出した企業が、「内内定」という表現を使わず「内内々定」といったことから広がった。つまり、正式な内定ではない内定という意味と、内定取り消しへの伏線を含ませたいからである。現在の採用計画が、連休後に修正されて採用取消しがありえるからだ。これは、学生にとってはたまらない。法的には、何と言おうと意思表示があれば、内定、仮採用が成立しているが、不穏な表現である。しかし、現在までは既定方針通りということで採用活動をしていても、連休後にあらためて09年度の業績見通しを精査した結果、採用を大幅減にすることもありうる情勢である。採用方針がトップの意向で突如変更されるかもしれない採用担当者の不安がここに現れている。10採用は、そんな暗中模索のなかで、いよいよ最盛期に入る。 [09.03.03] #
by bcp_sjk
| 2009-03-03 13:23
| [メルマガ]採用戦略研究2009
2009年 02月 17日
昨年の秋から続く内定取り消し、派遣切り、リストラ問題は、新卒採用に大きな影響を与えつつある。なかでもトヨタ、キヤノン、ソニーなど人気あるメーカーの派遣切りは、新卒採用に与える影響が大きい。こうした企業は、派遣切りだけでなく、正社員の退職者募集、配置転換、賃金カット、ワークシェアリングなどを今後、実施するという。このことによってこれらの企業が、人材を大切にしないというイメージが形成されているからだ。本当は、人材を大事にするからこうした施策をせざるを得ないということだろうが、一般にはわからない。正社員と派遣とは違うとか、管理部門と生産部門とでは違うとか、は言い出せず、たとえ説明しても理解は得られない。研究開発や技術を応用したいということでメーカーに就職する理工系出身者はまだしも、専門技術の少ない文科系の学生にとっては、入社後が不安になる。これは、当該企業だけでなく、メーカー全般にマイナスイメージを与えるものになっている。学生のメーカー離れがさらに加速しそうだ。すでに当社の学生モニター調査では、自動車、機械、化学メーカーの人気は凋落しているが、経営基盤の弱い中堅・中小企業の人気も大幅に後退している。逆に食品やレジャー、ゲームなどの業界は、リストラの動きがなく、業績も安定していると見られ、就職人気は上昇となった。ついでながら、こういう時期になると公務員人気が上昇するが、学生の就職動機は、大きな仕事をしたいというわけではない。安定している、地元にある、仕事が楽、といったレベルで志望する。だから上級公務員ではなく、市町村の職員志望となる。こうした不況ムードは、就職にあたっての親の口出し、安定性志向なども強めることになる。そうなると、これからの採用活動にあたって企業は、仕事の楽しさだけでなく、企業の安定性、強靭な経営体力、事業の将来展望、人事制度、それにリーダーの存在を明確に示すことが求められる。
ところで今年の新卒採用計画はどうなるのか。「未定」といい続けてきた大手企業だが、そろそろ結論が出そうだ。リーマンショック後、新卒採用意欲はどれだけ萎縮したのか、気になるところだ。08年10月に当社が、週刊東洋経済と共同で大手企業に調査したところでは、前年並みと回答した企業は61%(前年65%)、採用数を増やすと回答した企業は5%(同8%)だったのに対し、減らすと回答した企業は7%(同2%)と逆転した。変調がはじまったのである。これが年末のリクルートワークス研究所の「2010年新卒採用見通し調査」によると、採用数が、変わらないとする企業が50.6%、増やすは8.3%、減らすは15.7%と当社の調査と同様、採用の流れが逆流になったことを示した。しかし、激減とか凍結ほどではないことに注目してほしい。経営状態が苦しくても新卒採用は継続していこうという基本方針がみえる。しかし、2月に入ってから、企業の09決算が見え、大手メーカーを中心に業績の悪化が予想以上ということで、採用は抑制せざるを得ないという動きが目立ってきた。特に直接、生産、販売、サービスに関わる部門を大量の新卒社員で担ってきた企業は、大幅採用減の見込みだ。ここ数年、大量採用をしてきたメーカーの生産分野の技術者や家電販売、不動産販売、医療サービス、情報処理会社のSE、銀行、保険における顧客サービスの職種である。しかし、この動きのなかで大きな変化がない職種もある。大手企業における総合職の採用数である。例えば、あるメガバンクはここ3年間、総合職は毎年500人前後の安定採用で、準総合職を1500、800、900人と変動させていた。銀行、保険、証券などの業界では、人材のポートフォリオ化の考え方が進み、コア人材中心の考え方が定着してきたから、景気変動に対応ということとなれば準総合職の大幅減が予想されるが、どうなるだろうか。すでに全国各地で展開されていた会社説明会や社員との懇親会、リクルーターからのアプローチは、相変わらず活発だったが、その狙いは、総合職、コア人材の確保だった。そのため特定大学(東大、京大、一橋、慶大)などにターゲットをしぼった濃密な説明会が急増した。企業にとって将来を担う次世代型人材は、どんな不況期にも絶対に採用するとの強い意志がここには見て取れる。08年のバブル人材採用から、09年は次世代確保型採用への変化の始まりかもしれない。 [09.02.17] #
by bcp_sjk
| 2009-02-17 14:05
| [メルマガ]採用戦略研究2009
2009年 02月 03日
世界同時不況の中で雇用問題が一段と深刻になってきた。そうした中で、わが国の新卒採用活動は、この時期が最盛期である。大々的な会社説明会や派手な就職イベントこそ減ったものの、採用活動は相変わらず熱っぽい。すでに多くの企業は、エントリー者と面接を行い、若手社員による懇親会や面接の最中で、採用候補者の絞込みに入っている。しかし、採用担当者の頭の中は、経営環境の悪化、史上最悪の決算、リストラ計画などで一杯だ。しかし、この時期を逃しては新卒採用のチャンスは、ない。視界ゼロのなかでも今は、前進するしかない。
こうした騒然たる状況下、政府は、企業の雇用維持、雇用創出を支援するための第二次補正予算を成立させ、本格的な雇用対策がスタートした。基本的な政策については、一般紙でも報じられているので、新卒関係に関する部分を紹介しよう。 新卒については、雇用対策の中でも重点項目とされ、企業の内定取り消し防止に向けた指導強化だけでなく、悪質な内定取り消し企業については、企業名を公表するという姿勢を打ち出した(前回のコラムを参照)。その一方、内定を取り消された学生を正規雇用した雇用主に対しては、一人100万円(大企業は50万円)を支給する制度を実施した。この制度は、もともとは年長フリーターの雇用促進ということで設けられたものだが、今回、内定取り消し学生に拡大した。 注目は、「新卒者の雇用の安定確保」である。「新卒後、直ちに教育訓練・出向・休業をさせて雇用維持する場合も雇用調整助成金等の対象に追加」した。内定者を取り消したり、入社後に解雇したりしないように、企業の人件費を補助しようというのである。実は、いま大手メーカーの採用担当者の間では、今年の内定者をどのように配属するかが大問題となっている。どこの部門も事業所も、人員が余剰となっているから配属先が決められない。リストラをしようという職場に新入社員を配属するわけにもいかない。その時、この制度は魅力的になる。当面、国のお金で新人教育や自宅待機ができるからだ。人事担当者にとっては、大いに利用価値のある制度だ。 しかし、当の新入社員にとっては、人生の出発が自宅待機では、いささかショックだろう。かつて旅行業界が不況の時、スチュワーデス(当時の呼称)が自宅待機で話題になったが、それと同じ状況が再現するかもしれない。 ところで、現在の経営環境と雇用問題について、経営者たちがどう考えているのか。生産性新聞(1月15日号)に興味深いアンケートが掲載されていた。同紙によれば、18人の経営者のうち15人が、景気は「さらに悪化する」とみていたが、「やや良くなる」と回答した経営者もいた(外池徹・アメリカンファミリー生命保険社長)。ほかには「やや悪化」が2名。全員が暗い見通しでもないようだ。そして当面する経営課題は、ほとんどの経営者が、事業再構築と雇用確保、賃金問題だと指摘。深刻な事態を憂えていたが、「当社は、景気の悪化局面においても新入社員の採用を計画通りに行い、景気回復局面における人材不足を解消する」と述べていた企業もあった。森精機の森雅彦社長である。 このような環境の中でも、人材の重要性と採用への姿勢を毅然として述べる経営者がいることに心強さを感じる。不況となるやリストラや賃金カットばかりを絶叫して、人材採用の重要性をすっかり忘れてしまった経営者が多いなかで、なんとも光る存在だ。 [09.02.03] #
by bcp_sjk
| 2009-02-03 12:35
| [メルマガ]採用戦略研究2009
2009年 01月 20日
昨年10月から現在までの雇用問題に関する報道は、ますますヒートアップ。企業と従業員の間の伝統的な雇用関係が急速に崩壊し、今後は「迅速でドライな首切りが横行する」と報じられている。しかし、ここは冷静にこの間取り上げられた主な雇用問題を整理、新卒採用を粛々と進めていくしかあるまい。
まず、基本的な雇用問題の全体状況を見てみよう。これは、企業の経営環境、収益、社会の変化から現状と展望が論じられなくてはならない。一般に企業の不況時には、その不況の深刻さ、回復へのプロセス、企業の体力をもとにさまざまな対策を講じるが、今回は回復見通しが2年から3年後と予測したことから、一気に生産や販売の調整をすることになった。ここ数年、懸命になって確保した労働力を手放すことにしたのは、それだけ不況が深刻で、長期化すると判断したからだろう。 一般に企業が、従業員の処遇や採用にまで手をつけるには、5つの雇用対策がある。 1) 賞与削減、残業規制、昇給昇格停止 2) 非正規労働者の雇い止め、契約解除 3) 新卒採用の抑制(内定取り消し) 4) 社員の希望退職募集 5) 社員のリストラ(中高年でなく、年齢特定、役職特定、会社側指名) ここで昨秋のリーマンショックを思い返すと、雇用問題が表面化したのは、金融危機が報じられた直後の新卒内定取り消しだった。その後に派遣切り、希望退職者募集という行動だった。これは、90年代のバブル崩壊後の不況時に見られた雇用調整とは、かなり異なっている。当時は、中高年のリストラと新卒採用の抑制が中心だった。その結果、学生にとっては、長い就職氷河期が到来、企業に若者がいなくなったのである。雇用調整では、非正規労働の大量雇い止めも異なる。当時は、製造業への派遣が制限されていた。そのため正社員の雇用調整、解雇が吹き荒れたのである。ここにも雇用問題の構造的な違いがある。その後、経済の回復とともに、製造業への派遣や請負、外国人採用が認められるようになったから、産業界は体力を回復し、史上空前の利益を謳歌したのである。問題は、ここ数年続いた最高益をどこに蓄積したのか、賃上げは緩慢だったし、労働分配率は低いままだったからだ。この点を忘れてはならないだろう。一体どこに消えたのか。 テーマを新卒採用に戻すが、新卒の内定取り消しへの社会面的な反応(可哀そう、騙された、卒業できない)は、過剰のような気がする。たしかに大学では、内定取り消しの学生がいる。昨年末に厚生労働省が集計した調査では、大学生が632人、高校生は137人の合計769人が内定取り消しとなった。業種別には、不動産、製造業、サービス、情報通信が多い順。そして、内定取り消しをした企業側の理由として、「経営の悪化」が圧倒的で、倒産も3割程あった。 そこで内定取り消し問題について大学に聞いてみた。神奈川の中堅私大では、アミューズメント(パチンコ)企業から、業績不振を理由に内定取り消しを通知された学生がいた。学生はそれまで近寄らなかった大学キャリアセンターに相談、となる。この大学では、この企業の求人は受け付けていなかったが、他に優良な企業があるから安心しろと方向転換を勧めたという。事前に大学に相談してくれれば、その企業には行かせなかったともいう。今回の内定取り消し企業には、この事例が多い。内定取り消し企業名が公表されていないので断言はできないが、どうも大学側からは、もともと歓迎せざる企業が多かったようだ。 また、発端となったリーマン証券の内定者は、基本的に野村證券に採用されるので救済されるが、ここの内定者の行動は違ったものだった。都内の有名私大では、毎年同社に若干名が就職しており、今年も同社に内定した学生は一定数いるはずだが、学生からの相談はまったく無いという。競争の激しい外資に就職するぐらいだから、機を見るに敏、早々と転進したのではないかと見ている。 ところで、今回の内定取り消しや派遣切り問題は、新卒採用にさまざまな影響を与えている。なかでも大手メーカーの派遣切りは、新卒採用に与える影響が大きそうだ。具体的には、トヨタ、キヤノン、ソニーなど人気のある製造業が人材を大切にしないというイメージだ。これは、派遣の雇い止めを発表した企業だけでなく、製造業全般にマイナスイメージを与えるものになっている。学生のメーカー離れがさらに加速しそうだ。これとともに経営基盤の弱い中堅・中小企業の人気も大幅に後退することになる。さらに公務員人気上昇、資格試験への転進などがニュースになっている。さらに就職にあたっての親の口出し、安定志向なども予想されるところだ。これからの採用活動にあたっては、採用PRのやり方にも仕事の楽しさだけでなく、強靭な経営体力や事業の展望、雇用対策を明確に示すことが求められている。 ■追加緊急情報 政府は、1月19日、悪質な内定取り消し企業の公表を決めた。これは、職業安定法施行規則が改正されたもので、公表される企業は、次の要件に該当する場合とされた。 1. 2年以上連続して内定取り消しをしたもの 2. 同一年度内に10名以上に対して内定取り消しをしたもの 3. 最近の経営指標から事業規模の縮小が認められないもの 4. 内定取り消しの理由が不十分なもの 5. 取り消し者の就職先確保を企業として十分に支援を行わなかったもの また、大学団体からは、就職情報会社に対して内定取り消しをした企業については、就職ナビや就職情報誌に掲載しないことが要請されているが、これも上記の基準で適用されることになるだろう。 [09.01.20] #
by bcp_sjk
| 2009-01-20 14:00
| [メルマガ]採用戦略研究2009
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