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2009年 01月 20日
昨年10月から現在までの雇用問題に関する報道は、ますますヒートアップ。企業と従業員の間の伝統的な雇用関係が急速に崩壊し、今後は「迅速でドライな首切りが横行する」と報じられている。しかし、ここは冷静にこの間取り上げられた主な雇用問題を整理、新卒採用を粛々と進めていくしかあるまい。
まず、基本的な雇用問題の全体状況を見てみよう。これは、企業の経営環境、収益、社会の変化から現状と展望が論じられなくてはならない。一般に企業の不況時には、その不況の深刻さ、回復へのプロセス、企業の体力をもとにさまざまな対策を講じるが、今回は回復見通しが2年から3年後と予測したことから、一気に生産や販売の調整をすることになった。ここ数年、懸命になって確保した労働力を手放すことにしたのは、それだけ不況が深刻で、長期化すると判断したからだろう。 一般に企業が、従業員の処遇や採用にまで手をつけるには、5つの雇用対策がある。 1) 賞与削減、残業規制、昇給昇格停止 2) 非正規労働者の雇い止め、契約解除 3) 新卒採用の抑制(内定取り消し) 4) 社員の希望退職募集 5) 社員のリストラ(中高年でなく、年齢特定、役職特定、会社側指名) ここで昨秋のリーマンショックを思い返すと、雇用問題が表面化したのは、金融危機が報じられた直後の新卒内定取り消しだった。その後に派遣切り、希望退職者募集という行動だった。これは、90年代のバブル崩壊後の不況時に見られた雇用調整とは、かなり異なっている。当時は、中高年のリストラと新卒採用の抑制が中心だった。その結果、学生にとっては、長い就職氷河期が到来、企業に若者がいなくなったのである。雇用調整では、非正規労働の大量雇い止めも異なる。当時は、製造業への派遣が制限されていた。そのため正社員の雇用調整、解雇が吹き荒れたのである。ここにも雇用問題の構造的な違いがある。その後、経済の回復とともに、製造業への派遣や請負、外国人採用が認められるようになったから、産業界は体力を回復し、史上空前の利益を謳歌したのである。問題は、ここ数年続いた最高益をどこに蓄積したのか、賃上げは緩慢だったし、労働分配率は低いままだったからだ。この点を忘れてはならないだろう。一体どこに消えたのか。 テーマを新卒採用に戻すが、新卒の内定取り消しへの社会面的な反応(可哀そう、騙された、卒業できない)は、過剰のような気がする。たしかに大学では、内定取り消しの学生がいる。昨年末に厚生労働省が集計した調査では、大学生が632人、高校生は137人の合計769人が内定取り消しとなった。業種別には、不動産、製造業、サービス、情報通信が多い順。そして、内定取り消しをした企業側の理由として、「経営の悪化」が圧倒的で、倒産も3割程あった。 そこで内定取り消し問題について大学に聞いてみた。神奈川の中堅私大では、アミューズメント(パチンコ)企業から、業績不振を理由に内定取り消しを通知された学生がいた。学生はそれまで近寄らなかった大学キャリアセンターに相談、となる。この大学では、この企業の求人は受け付けていなかったが、他に優良な企業があるから安心しろと方向転換を勧めたという。事前に大学に相談してくれれば、その企業には行かせなかったともいう。今回の内定取り消し企業には、この事例が多い。内定取り消し企業名が公表されていないので断言はできないが、どうも大学側からは、もともと歓迎せざる企業が多かったようだ。 また、発端となったリーマン証券の内定者は、基本的に野村證券に採用されるので救済されるが、ここの内定者の行動は違ったものだった。都内の有名私大では、毎年同社に若干名が就職しており、今年も同社に内定した学生は一定数いるはずだが、学生からの相談はまったく無いという。競争の激しい外資に就職するぐらいだから、機を見るに敏、早々と転進したのではないかと見ている。 ところで、今回の内定取り消しや派遣切り問題は、新卒採用にさまざまな影響を与えている。なかでも大手メーカーの派遣切りは、新卒採用に与える影響が大きそうだ。具体的には、トヨタ、キヤノン、ソニーなど人気のある製造業が人材を大切にしないというイメージだ。これは、派遣の雇い止めを発表した企業だけでなく、製造業全般にマイナスイメージを与えるものになっている。学生のメーカー離れがさらに加速しそうだ。これとともに経営基盤の弱い中堅・中小企業の人気も大幅に後退することになる。さらに公務員人気上昇、資格試験への転進などがニュースになっている。さらに就職にあたっての親の口出し、安定志向なども予想されるところだ。これからの採用活動にあたっては、採用PRのやり方にも仕事の楽しさだけでなく、強靭な経営体力や事業の展望、雇用対策を明確に示すことが求められている。 ■追加緊急情報 政府は、1月19日、悪質な内定取り消し企業の公表を決めた。これは、職業安定法施行規則が改正されたもので、公表される企業は、次の要件に該当する場合とされた。 1. 2年以上連続して内定取り消しをしたもの 2. 同一年度内に10名以上に対して内定取り消しをしたもの 3. 最近の経営指標から事業規模の縮小が認められないもの 4. 内定取り消しの理由が不十分なもの 5. 取り消し者の就職先確保を企業として十分に支援を行わなかったもの また、大学団体からは、就職情報会社に対して内定取り消しをした企業については、就職ナビや就職情報誌に掲載しないことが要請されているが、これも上記の基準で適用されることになるだろう。 [09.01.20]
by bcp_sjk
| 2009-01-20 14:00
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